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メンタルトレーニング(1)

世界で活躍する日本代表のトップアスリートから、プロスポーツチーム、全国大会に挑む高校生まで、数多くの、一流スポーツ選手達のメンタルトレーニングを手掛け、信頼を集める豊田一成氏。
時代や環境に惑わされず、自己実現を達成するために、今、必要なメンタルトレーニングの有効性とすぐにでも実践できるメソッドを聞いた。

 

(1)メンタルトレーニングの根本はプラス思考にあり

競技者としての能力と人間としての脳力の関係

我々は、つい表面上の行動にばかり注目する傾向があります。
しかし、表面上を望ましい形に仕上げたければ、見えている現象がなぜそうなったのかを考え、表面下の心を大きく充実させることが肝要です。
なぜなら人間の行動は観念にとらわれており、出来ると思うと出来るし出来ないと思うと出来なくなるからです。

「メンタルトレーニング」とは、モノの見方や考え方を、より望ましい方向へ向けられるようにするための、一つのアドヴァイスです。
習熟すれば、自己分析力が向上するため、自己管理力や自己コントロール力が増し、さまざまな問題に、より良い対応が可能になります。

ここで大事なのはメンタルトレーニングが「心の訓練」と「心での訓練」の、両面から成り立っているということ。「心の訓練」で、横ブレしない心そのものを鍛え、「心での訓練」で、目指す目標を効率良く達成することが必要なのです。

col1_img1例えばアスリートなら、プレイを良くするために心を整え、競技を通じて心を成長させるということ。
これは競技者でも、ビジネスパーソンや学生、主婦でも共通します。

自分の内面に目を向け、人間性を磨きながら目的・目標に向かうからこそ、能力向上と、人としての脳力向上の相乗効果で、実力をいかんなく発揮できるように成長するのです。

 

「精神統一的手法」から「心身統一的手法」へ
私が、今はメジャーリーグで大活躍するイチロー選手の高校時代に用いたメンタルトレーニングの手法は、西洋科学の心理学を背景にした「精神統一的手法」でした。

しかし西洋科学の「心と身体は別物」という概念に疑問を抱き、後に東洋思想の《氣》を採り入れた「心身統一的手法」に変えました。

「視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚」といったいわゆる五感、意識以前の前五識(眼・色、耳・声、鼻・香、・味、身・触)に加え、第六感(勘・直感、感性・共感・共鳴)、すなわち第六職(意識)や第七職(自意識)、八職(根本職)といった《氣》を採り入れているのが特徴です。根本職とは、いわゆるDNA=遺伝子という物質面も含まれています。

「精神統一的手法」の目的が、持てる才能を100%出し切ることなのに対し「心身統一的手法」は潜在的な脳力やエネルギーをも顕在化させ、百何十%もの力を出させる手法です。
(2へ続く)